日本特有の和の精神とは?
今年の5月1日に新たな元号「令和」になりました。
この令和の和と言う漢字ですが、日本は元来「和」の精神が根付いていた国です。
しかし、太平洋戦争の敗戦を気に自己中のエネルギーが忍び足で芽生えてしまいましたね。
そして、戦後復興という物質的豊かさを追い求めるエネルギーに翻弄され、いつしか「和」の精神の根は腐り始めていったのです。
「和」の精神というと、妥協やなれあいをイメージする人もいるでしょう。
しかし、真の「和」の精神には、少々大袈裟ですが生命と宇宙の法則が現われているのです。
聖徳太子は、十七条憲法の第1条で「和を以て貴しとなす」という趣旨を説きました。
太子のいう「和」とは、単に仲間うちで仲良くやっていく事ではありません。
太子の憲法の第1条は「上和らぎ、下睦びて事を論(あげつら)ふに諧(かな)ひぬるときは、則ち事理自ら通ふ。」
何事か成らざらむ」という言葉で結ばれます。
すなわち、「和」の心をもって、お互いに話し合えば、そこに自ずから物事の「理」が通うのだ、出来ない事などあろうか、というのです。
「人の和」は「宇宙の理法」に通じるという信念を、太子は持っていたと思われます。
「和」ということを、スポーツで考えてみると、グループで行うスポーツでは、チームワークが重要です。
つまり、チームの調和です。
チームがまとまっていると、メンバー個々の能力以上の力が出せます。
逆にメンバー各自が優秀でも、チームがばらばらでは、力は出せません。
チームの呼吸が合っていると、1+1=2ではなく、3にも5にもなるものです。
しかし、呼吸が合っていないと、2どころか、0.5にもなりません。
つまり、「和」が大切なのです。チームが「和」をもって団結していると、想像できないほどの潜在能力が発揮されます。
奇跡的なほど、絶妙なプレーが出てきます。
信じられないほどのグッド・タイミングで、すべてがうまくいきます。
言わば、集団による至高体験(peak experience)、高シナジー効果です。
ここに、調和という状態が持つ不思議なパワーがあります。
職場においても、「和」が大事です。
一つの目的に向かって、職場のみんなが心を合わせて考えると、一人では思いもつかないような発想が、次々に湧き出てくるものです。
何かの計画を実行するとき、互いを信じて取り組んでいると、初めは不可能かと思えたような課題でも、信じられないほどうまく解決できてしまうのです。
調和は、集団を一体化し、単なる要素の総和を越えた、創造力を生み出すのです。
こうした「和」が見られる見事な実例が、あなたです。自分の身体について考えてみてください。
あなたの身体は、約60兆個もの細胞で成り立っています。
60兆とは銀河系の星の数にも匹敵するといわれます。
それらの細胞は、父母の結合による、たった一つの受精卵が分裂・分化したものです。
その細胞は、脳・目・胃・腸・手・足など、それぞれの目的・役割に応じて成長します。
そして、様々な器官・組織・細胞の働きによって、呼吸や血液循環や消化などの活動が、休むことなく営まれています。
なんという、見事な調和でしょう。
まるで60兆人ものメンバーによるオーケストラが、壮大なシンフォニーを奏でているようです。
その指揮者のはずのあなたは、そんなことを何も意識せず、パソコンを打っています。
呼吸もしています。
心臓ももちろん、動いています。
この驚くべき不思議が、あなたなのです。
あなたという存在は、60兆個もの細胞の調和によって存在しているわけです。
そのことに気づくなら、調和の原理とは、あなたを超えて、あなたをあらしめ、あなたを生かしている根本原理だと理解できるでしょう。
日本人は、こうした生命や社会を貫く「調和」の大切さを、深く感じてきた民族だといえましょう。
そして、自然の様々な現象に調和を見出し、自然と調和して生きるように心がけてきたのが、日本人の生き方だといえましょう。
日本人が「和」を重んじるのは、生命や宇宙の法則に基づいて生きる、知恵の働きです。
そして、「和」の精神には、生命と宇宙の法則が現われているのです。
最近「あおり運転」が何かと取り沙汰され、あおる方ばかりを責める意見が多いのですが、あおられる方にも問題があるのです。
事象には必ず原因が存在するのです。
追い越し車線を80キロで後ろに車が連なっているのも気にせず、まるで大名行列の様になっていても、まったく気にせず優雅にのんびり車を走らせているドライバーには何の問題もないのでしょうか?
もしも、私がこの車の真後ろにいたらパッシングをします。
それは前の車が明らかに自己中の迷惑行為をしているからです。
でも、いまのご時世ではパッシングした私の方が「あおった悪質ドライバー」になってしまう恐れがあるのです。
自己中になればなるほど、創造力は根こそぎ奪われます。
自己中は、相手の現状・状況・立場等々に対しての創造力は全く働きません。
「和」の精神、真の日本精神を取り戻さなければ、手遅れです。